YAMAHAのピアノプレーヤ PPC100RのFDDを自力で汎用のスリムFDDに交換

はじめに

主人公のピアノ

我が家には1995年当時のサイレントアンサンブルピアノがある。つまり、自動演奏ピアノを持っているということだ。これはフロッピーディスクを読んで演奏できるもの。

改造前。ディスプレイ部も映らなくなっている。

なんだが、2015年くらいにはフロッピーが読めなくなっていた。そのとき僕はPPC100Rを分解して適当に触っていたが、たぶんそのときにFDDのヘッドのシークする部分を壊して復活不能にしてしまった。シークしなくなった。モーターがダメになったのだろうか。今年2025年にFDDを見直したら、単純に電解コンデンサーがダメになってただけだった。今更コンデンサーを交換してみたが、FDDの動きがよくなってもシークしないためにフロッピーが読めない。

たまたま2010年代に1990年代後半頃のものと思われるIBMのノートパソコン用の外付けスリムFDDを入手していた。その時はポン付けで直せるかと思って購入したが、どう見てもFDDの内部コネクターの形が違う。それで諦めて放置というか保管していた。

今ならいろいろ知ってるし作業できそうだということで、FDD交換に挑む。

電源の修理

まずはピアノプレーヤの電源が入らないので、電源を修理する。

電源が入るようになった。

ディスプレイの整備

ディスプレイも見えなくなっている。ディスプレイが見えないと各種操作が困難なので直す。これもコンデンサーの不具合らしいので修復に挑戦したが、基板パターンの断線多数で、はんだごてを当てて直そうとして小さいチップの水晶を飛ばしてしまったのでディスプレイの修復は諦めた。

代わりのディスプレイを探す。まったく同じサイズのディスプレイは売っていないようで、ヤマハの修理窓口に電話したが部品だけでは売ってくれないという。工賃込みで4万円でディスプレイが治るというが、どう考えても高い。この古い自動演奏装置にそんなにお金かけるつもりはないので、アリエクでありあわせの部品を探す。横24文字縦2文字のディスプレイ、カタカナ対応で探すと見つかった。LC2421。接続のピン数もちょうどよさそうだ。

アリエクの部品 825円

使えるかどうかはわからないが注文。届いた。純正のディスプレイの線をもらって接続することにした。とりあえず純正品の接続を覚えてLC2421のデータシートとにらめっこ。どうもピン番号とケーブルの色(カラーコード)が対応してるっぽいので、そのように接続。LCDの電源に供給すべき電圧が異なるようなので、1kΩの抵抗で適当にした。そして映るようになった。

ディスプレイ接続成功

作業の途中で知ったが、なんと同じ部品でディスプレイ接続している例があった。これなら絶対接続できるんだろうなと自信をつけた。それを真似て、セリアで買ってきたアクリル板を加工してディスプレイが自立できるようにした。

ディスプレイを自立させる

これでディスプレイの整備はおしまい。

FDDの交換

本題のFDDの交換。FDDの修理は前出の通り失敗したので、交換を目指す。

実はこれもヤマハ純正部品があるみたいなんだけど、部品だけで提供してくれないくせどうせ金かかるし金かけたくないので自作で。30年前のピアノプレーヤなんて将来性ないし

FDDのコネクター回り

FDDは26ピンの1.25mmのFFCで接続されていた。26ピンというと一般的なスリムFDDと同じピン数である。これは接続の期待が高まるな、と思いつつ、FDDコントローラーの仕様を調べる。

FDDのコントローラー HD63266F

FDDコントローラーにはHD63266FFが使用されていた。

データシートを参考にしながらピンアサインを解析すると以下のようになった。以下の図はスリムFDDとの接続も表記してある。

Head Selectが写真奥のピン、手前が5V。
黄色印のピンは不使用とした。緑印はGNDが間にあるよということ。

ということで、電子工作をする。以下のパーツを作成した。

FDDコネクターの変換器

1.0mmピッチのスリムFDD側コネクターとのはんだ付けは大変だった。はんだ付けが正しくつくまで一苦労。

スリムFDD用のFFCも用意して接続をする。

FDDの交換に成功

うまくつながった。動作の確認ができた。基板の設計図を書いて発注してもいいな。量産してもいいけど、ほしい人いるのかな?

おわりに

FDDの交換はどちらかというと別にしなくてよかったんだけど、兄弟に直ったら喜びそうな人がいて、難易度もそんなつらいものではなさそうだったのでやってみた。うまくいってよかった。

たいていの人はヤマハの修理窓口に連絡して部品を交換してもらったほうがいいよ。部品は30年キープしてくれてるようなので、1995年くらいのピアノを持ってる人は急いで直してね。僕はムダ金使いたくなかったからDIYで直したけど。

追記

ディスプレイの線でコントローラーの箱のふたが閉まらない&バックライト明るすぎだったのを直した。リボンケーブルを利用した。

ディスプレイの明るさが適切に

追記2

本体パネルを削って、外付けにしていたFDDを内蔵させた。想像よりきれいに仕上がった。

FDDを本体に内蔵